川上の離家(はなれ)
第14回JIA環境建築賞入賞

建設地は、山の谷間の一本道沿いに、隣接する山の地形と折り合いながら、生活の場を代々切り拓いてきたと思われる農家が点在する、山並みと稲田が美しい地区にある。施主のご夫婦は、その一本道から5mほど登った母家と納屋が建つ平場の一角に、ご夫婦世代の住まいの新築を希望された。四世代の生活では母家が手狭になってきた反面、ご両親が子供の面倒を見る機会も多いため、子どもがスムーズに往来でき、どちらからも子供を見守ることができる形態がよいとの判断からである。敷地を拝見し、納屋に連続する農作業のスペース、一人一台の駐車スペースを考えると、現状の平場はそのまま確保せざるを得ない状況にあった。そのため、その平場に隣接し、3mほどの高低差がある土地に、レベルに合わせた地下室を埋め込むことで、その上部は母家と同じレベルで繋がり、中庭となる平場を介してお互いの様子が垣間見ることのできる「母家−離家」の関係をつくりあげた。

その離家は、土地の高低差に合わせ、@母家・中庭と連続する玄関・プレイルーム・食堂・水廻り、Aプレイルームから3段下った居間・テラス、Bプレイルーム床から光が差し込むワークスペース・子供室、C居間の下階となる寝室・書斎、と4つのフロアで構成し、そのレベル差は同時に、公―私のグラデーションとなる。地下階(東、北面は外気に面している)はRC造、1階は建物高さを極力抑えた木造とすることで、母家(中庭)からの眺望をなるべく阻害しないよう意図している。

構造体のコンクリートは約半分が地中に埋まっていることで、そのバックグラウンドは年間を通して15℃の安定した熱源と考えられ、その熱容量の大きさと合わせ、室内の温熱環境を平準化する環境調整装置として機能させている。主暖房の薪ストーブ、その暖気を地下階に搬送し、室内環境を微調整するためのダクティングを施したエアコンにより、化石由来のエネルギー消費をなるべく抑制し、不快でない室内環境を実現している。

所在地
用途
構造
階数
敷地面積
建築面積
延床面積
施工
竣工年月
宮城県気仙沼市
専用住宅
鉄筋コンクリート造+木造
地上1階 地下1階
763.43 u
 89.89 u
129.80 u
株式会社高橋住研
2012年2月