八幡の家
敷地は、南北に延びる県道沿いに住宅が建ち並び、その周囲には水田、里山が広がる郊外の一画にある。施主夫妻は、子供たちの手が離れたところで、これからのご両親との生活を豊かなものにしたいと考え、住宅の建て替えを希望された。冬期には強い北西の風が吹く地域であり、敷地形状と既存の倉庫棟、車庫棟の関係から、風を防ぐ形で南側に外部空間を確保するためのL字型プランを選択するに至った。L字の南北軸はご両親のスペース(寝室1・和室)、東西軸は施主夫妻のスペース(寝室2・居間)、その交点に一家団欒のための食堂・厨房と愛犬:ウランの部屋がある。寝室2上部に位置する2階の個室は、子供たちが帰省した際や将来のためのスペースとして、屋根勾配と床の高低差を利用して確保した。

設計の段階で、所有する山の杉の木を利用しようということになり、60年生の杉の木を一本一本吟味しながら、丸太加工や製材を施し、自然乾燥にて着工を待った。内部では丸太加工の柱や梁を随所に利用し、自然の美しさや家族(祖先)とのつながりも感じ取れる空間になることを意図した。

インテリアでは、魚の飼育が趣味のご主人のために、水槽のショーケースを造り付け、設置する居間の床レベルを地表面下に設定した。あたかも自分も水中に身を置きながら魚を鑑賞している気分を味わうための仕掛けである。   腰まで地面に埋めた居間と寝室は、空間の変化を演出するとともに、年間を通して15℃程度である地盤に守られ、安定した室内環境を提供するものと考えられる。

また、所有する山から採掘できる地元特産の赤石を石工職人でもあるお父様に加工していただき、食堂壁面のアクセントとして活用した。
夏期には周囲に広がる水田を走る風(気化により熱を奪われた風)が、室内を気持ちよく通り過ぎるよう、冬季には確実な断熱とヒートポンプによる床暖房で効率よく、化石由来エネルギーの消費を抑えつつ、不快でない室内環境の実現を目指した。
所在地
用途
構造
階数
敷地面積
建築面積
延床面積
施工
竣工年月
福島県伊達市
専用住宅
木造
地上2階
1428.50 u
 161.52 u
 179.59 u
菅野建設株式会社
2013年3月